* 星猫の宴 *//天然石アクセサリー&マジカルオイル&スピリチュアルの魔道具屋さん//
e-shops カレンダー
--*--*--*--*--*--*--
 姉妹サイト
タロット占い・ヒプノセラピー・
ヒーリング
--*--*--*--*--*--*--
 ranking & サーチ
お気に召しましたら、よろしくお願いします。
天然石人気ランキング
ネットショップランキング
ネットショップランキング

雑貨検索サイト【Good*Zakka】

アクセサリーアクセサリー
天然石天然石


--*--*--*--*--*--*--
ホーム 不思議な石屋

 

  精霊探偵
    プロローグ

 Act1.不思議な石屋

秋空はどこまでも高く澄み渡っている。
遠くを飛ぶ鳥たちはまるで芥子粒のような大きさにしか見えない。
ぽつぽつと浮かぶ雲はちぎれた綿菓子のようだ。
店の玄関を掃き掃除していた女性が手を休めて伸びをした。空に浮かぶ雲を見て独り言を言う。
「あ~、ソフトクリーム食べたいな。帰りに買おうっと」
掃除道具を片づけるとドアを開けて中に入る。木製の古びたドアには店の名前が彫りこまれたプレートが小さく掲げられてある。
フリークストーン
このショップの名前らしい。
中には所狭しと並べられた天然石やアクセサリー、どこかの土産物屋で売っていそうな人形や道具が陳列棚だけでなく、天井からもぶら下がっている。
「さて、掃除も終わったし。店長が戻るまで店番ね」
女性は手をぱんぱんとはたいてからレジの後ろにある椅子に腰かけた。読みかけの小説を開くと無心に集中する。店内には壁掛け時計の秒針が刻む音だけが聞こえていた。
 

 

フリークストーンという天然石を扱う店で働いてる赤坂まなみは今年20歳になったばかりの大学生だ。
石に興味があったわけではないが、たまたまバイトを探していて良い条件のところを探したら、
それがこの天然石を売る店だったというだけなのだけれど。
 
それまでのバイト先をちょっとしたトラブルで辞めてしまい、生活費を早急に稼ぐ必要があった。
学費は親が出してくれているが、自分の自由になるお金は自分で稼がなくてはいけないのだ。
いまどき自宅にネット環境が無いので、おのずと情報はフリーペーパーや書店の本を立ち読みすることで得るしかない。
 
この店の情報を見つけた時に不思議なことがあった。
まなみは書店でアルバイト情報誌を見て見つけたのだけど、一番上に積んであったアルバイト情報誌は立ち読みされてぼろぼろになっていた。
下に積んであるきれいなのを取ってみたら、そちらにはこの店の情報が掲載されていなかったのだ。
あれ?っと思い、別の本を開けてみたけれど、やはり載っていない。
一番上に置いてある立ち読み用(本当はそうではないのだけど)だけに載っていた。
しかたなくその本を購入し、それから掲載されている電話番号に連絡を入れた。
呼び出し音が数回聞こえたところで声が聞こえた。落ち着いた女性の声だ。
「はい、フリークストーンです」
「あの、アルバイトの募集を見てお電話したんですけど」
相手の声がちょっと止まる。
「ああ、そうね。わかったわ。よかったら面接に来ていただけるかしら」
「はい。いつがよろしいですか?」
「そうね・・・。お時間があるなら、これからいかがかしら」
「え、でもまだ履歴書も書いていないですし・・・」
相手の女性はちょっと笑ったようだ。
「そんなの構わないわ。直接伺えば済むでしょ」
という感じでまなみはいきなり店に行くことになってしまった。
 

 

店は郊外の住宅地にあった。こんなところでやっていてお客は来るのだろうか。
一見しただけではショップだとは分からない。小さな看板がドアに掲げられているだけだ。
フリークストーン
それを確認して、まなみはドアを開けて中に入った。
「あの~、さきほど電話した赤坂ですけど・・・」
店の中を見てまなみは息をのんだ。外とは全く違った空間がそこに広がっていたからだ。
壁、床、キャビネットなどすべてが落ち着いた木目調で統一されており、所狭しと天然石が並べられている。
それらは決して乱雑に置かれているのではなく、しっかりと計算された配列と構成が考えられる。
無造作に置かれているようで、それぞれの石が自己主張をし過ぎないよう、色目や大きさ、存在感までが調和してるようだ。
天井から降り注ぐライトの光までが石の存在をやさしく包み込む。
そこにいると、まるで異次元か宇宙の星が集合した世界に迷い込んだように思えるのだ。
まなみは魅入られたようにひとつひとつの石を見て行った。
真っ赤なガーネットの原石や深海のようなアメジストを見ていると、自分が小さくなって吸い込まれそうな錯覚を感じる。
その時、いきなり人の気配を感じて振り返ると、女性がすぐ後ろに立っていた。
ロングの髪を片方に流し、眼鏡をかけている。
年齢は30歳くらいだろうか。大きくぱっちりと開いたまなざしはさっき見ていた石とそっくりだ。
「どう? その石、綺麗でしょ」
さっき電話で聞いた声だ。まなみはあわてて挨拶をした。
「は、はじめまして。赤坂まなみです」
女性はふっと笑った。
「待ってたわ。どうぞ、こっちへ座って」
小さなテーブルとイスが窓際に置かれてある。まなみは勧められた椅子に座った。
「ちょっと待っててね。すぐにお茶を用意するから」
女性はそう言うと店の奥へ下がった。まなみは店内をぼうっと見渡す。
石は天井に届きそうなところにも陳列されている。上の方はよく見えないのだけれど、大きめの石が置いてあるようだ。
すぐに女性が戻って来た。
「お待たせ。お話を伺う前にお茶をどうぞ」
ティーカップに注がれたのは紅茶だ。ほのかに甘い香りが店内に広がった。
「自己紹介が遅れたわね。私は沢渡響子。この店のオーナーよ」
そう言って沢渡は名刺をまなみに手渡した。
「じゃあ、さっそくだけどあなたの事を聞かせてくれるかしら。お名前はさっき伺ったからいいとして、年齢とここに来た動機ね」
そう言われてまなみはどぎまぎした。志望動機なんて考えていなかった。ただ時給がよかったら選んだだけなのだ。
とっさに理由を考える。
「あ、はい。年齢は20歳。志望動機は・・・、石が好きだからです」
我ながら下手な説明だと思ったけれど、それしか思いつかなかった。沢渡はにっこりとほほ笑んでいる。
「OK。石が好きなら大歓迎よ。見ての通り石しか無いんだけど、扱いには注意が必要なの。わかる?」
まなみは首をかしげた。貴重な石とかが多いのだろうか。
「そうね・・・。分かりやすく説明するなら、これがいいかな?」
沢渡は立ち上がり、店の奥から黒い布を持ってきた。そして店内の中央にある大きな白い石の前に立つ。
「これはね、ここにあるすべての石を調和させてる特別な存在なの。これがあるから石達はけんかせずに大人しくしているわ。いわば調整役ね。これを隠すとどうなるか・・・」
そう言って沢渡は黒い布を石にかぶせた。すっと後ろに下がる。
まなみは何か圧迫感のようなものを感じた。それは周囲の石が発してるかのように感じられるのだ。
まるで大勢の人間が一斉にこちらを見てるような感じ。それがどんどん強くなっていく。
ぐるりと店内を見ると、先ほどまで静かだった店内が、まるでうなりを上げるような喧騒で満ち溢れてるようだ。
実際に音が聞こえるのではないけれど、沢山の石がその存在を大声で叫んでるような、そんな雰囲気がびしびしと伝わってくる。
「どうかしら。この感覚が分かれば、私の言ってる意味が理解できると思うんだけど・・・」
あわててまなみはうなずく。沢渡は石にかぶせた布をはずした。途端に店内が静まり返る。先ほどまでの圧力がすうっと消えていた。
「こういう事なの。石って単なる物体に思えるけど、実際は人間以上に繊細でデリケートなものなのよ。
それを理解してくれる人にしか扱えないのがわかってもらえたかしら」
まなみは声にならない声で返事をした。
「わ・・・、分かりました。」
沢渡はまなみの横に来て手をいきなり握った。不安そうな顔をしてる。
「で、確認なんだけど。うちに来てもらえるかしら。これをするとほとんどの人は驚いて逃げちゃうのよ」
じっと見つめられてまなみは動けない。蛇に睨まれた蛙のようだ。
「はい、雇ってもらえるなら・・・」
それを聞いて沢渡は満面の笑みを浮かべた。ぎゅっと抱きつかれる。
「よかった! じゃあ、明日から早速お願いね。一見さんはほとんどいないし、石の購入希望者は事前に連絡をくれるから。
難しい事は全く無いわ。覚えて欲しいのは石の相性と、を聞くことだけ」
「声・・・、ですか?」
はっとした顔をして沢渡が離れる。
「まあ、あわてなくてもいいわ。すぐに分るでしょう」
沢渡は喜々としてお茶を飲む。ティーカップを下ろしてからこんなことを言った。
「あ、それからね。うちは求人募集を出していないのよ」
それを聞いてまなみは目が点になった。
「え? だって雑誌に・・・」
「ちょうど人が欲しいなって思っていたのは確かよ。でもね、私は今まで一度も雑誌に求人広告を出した事が無いの。なぜか不思議な事に必要な人が必要な時に集まってくれるのよね。だからあなたもそうやって導かれたんだと思うわ。まあ、その中でもいついてくれる人はほとんどいないけどね」
沢渡はにっこりとほほ笑んだ。
 
とまあこんな感じでバイトは決まった。ちょっと変な事もあったけど、働き始めて一週間は何事も無く過ぎて行った。
  

 

「まなみさん、ちょっといいかしら」
ある日、出勤してみると沢渡が声をかけてきた。
「はい、何でしょう?」
沢渡は小さな包みを手渡す。まなみはそれを受取った。
「悪いんだけど、これを届けてほしいの。宅急便だとダメなのよ」
「壊れ物ですか?」
包みは非常に軽い。ガラス製品だろうか。
「そうじゃないんだけど・・・。理由は届けるとわかるわ。お願いしてもいいかしら」
「私は構わないですけど、店番はどうしましょう」
「それなら心配ないわ。今日はもう誰も来ないって聞いてるし」
聞いてる? 誰に聞いたんだろうか。沢渡は言ってから、はっとした顔になっている。
あわてて取り繕うようにしゃべりだした。
「おうちに戻る方向のはずだから、届けたらそのまま帰ってもいいわ。住所はここね」
確かに自宅に戻る途中だ。しかしこの住所は・・・。
沢渡は思い出したように店の奥へ駆け込む。折りたたみ傘を持って来た。
「まなみさん。傘を持ってないでしょ。これ使って」
「え? でも外は晴れていますよ」
じっと沢渡がまなみを見つめる。
「絶対に必要になるから。持って行ってね」
「はあ。わかりました」
傘を受取るとまなみは帰り仕度をして店を出た。
「店長、いつにも増して今日はとんちんかん。どうしたんだろ」
 
店を出て駅の方へ歩いていくまなみを、沢渡は窓越しに眺めていた。
「たぶん、あの子なら大丈夫だと思うんだけど・・・。どう思う?」
店内には誰もいない。なのに沢渡は誰かと会話してるようだ。
「そう、そうね。じゃあ任せるわ。それにあの人もいる事だから」
そう言うと沢渡はカーテンを閉めて奥へ引っ込んだ。
 
 


電車に揺られて目的地に到着すると、住所を頼りにあちこち探す。
「以前、このあたりは通った事があるわ。確かこっちにコンビニがあって・・・」
古びた商店街のはずれに目的のビルがあった。さびれた雑居ビルだ。
「あった。ここの3階ね」
見上げると3階建てのビルの窓に大きく、草壁探偵事務所と紙が貼られてある。
しかしその紙の何枚かははがれていた。
「きったないところね。さっさと渡したら帰ろうっと」
薄暗い階段を昇っていくと、最上階に事務所のドアがあった。インターホンも無いので直接ドアを叩こうとしたら、いきなりドアを開けて人が出てきた。初老の少し小太りな男性だ。
「とにかく。今週中に3か月分の家賃を払わないなら出て行って下さい。いいですね」
それにこたえる声が事務所の中から聞こえた。
「もうすぐまとめて払ってやる。心配は無用だ」
「その言葉、もう信用していませんからね。絶対ですよ」
男性はドアの内側へ叫ぶと、まなみには目もくれず、階段を下りて行った。
ぽかんとして階段を見ていたら、横から声がした。
「誰だ、お前」
振り返ると、そこにいたのはぼさぼさの髪と延び放題の無精ひげを蓄えた汚らしい男がまなみを見下ろしている。まなみは本能的に危険を感じて後ずさった。
男はよれよれのスラックスと黒のシャツを着ていた。顔立ちは意外とシャープで眼光が鋭い。この男が草壁だろうか。
「何か用か。それとも部屋を間違えたのか・・・」
男が面倒臭そうに対応する。
「草壁さんですか? あの、お届ものです」
まなみはそう言って包みをに突き出した。草壁はじっとそれを見て、それから無造作に受け取った。
「失礼します」
階段を駆け下りようとしたまなみを草壁が呼び止めた。
「ちょっと待て。おまえ、誰に頼まれてこれを持ってきた」
草壁は包みを右手に持って掲げている。
「フリークストーンの店長ですけど」
それを聞いた途端、草壁の顔に動揺が走った。
「あの・・・、クソババアか。なんてことをしやがるんだ」
それを聞いてまなみはむっとした。
「ちょっと。届けてもらってその言いぐさはひどいじゃないですか」
草壁はいきなりまなみの手をぎゅっと掴んだ。まなみはあまりの驚きに声も出ない。
「こっちへこい!」
無理やりまなみを事務所に連れ込むと、草壁はドアに鍵をかける。それを見てまなみが悲鳴を上げた。
「キャー!!! 人さらいー!! 変態!!」
草壁がまなみの口を押さえる。
「ばか!! 人聞きの悪い事を叫ぶな。誰がお前なんか襲うか」
それを聞いてさらにまなみはむかついた。
「じゃあなんで鍵なんかかけるのよ!! どう考えたって襲うつもりじゃないの!!」
口を押さえられてるのではっきりとは聞こえないが、そういう風に叫んだようだ。草壁はぎろっとまなみをにらんで言った。
「理由を説明するから叫ばないと約束出来るか?」
ちょっと考えてまなみは頷く。草壁は手を放した。
「そこに座れ」
応接用のソファを指さすと、まなみはとりあえず座る。部屋の中を見ると、調具品らしきものは殆ど無い。
テーブルとイスが一つ、ソファとロッカーくらいだ。あとはがらんとしていた。
草壁は事務テーブルに腰かける。包みを左手で持ってまなみに見せた。
「お前、この中身を知らないでここまで持ってきたのか?」
「ええ。ただ届けてほしいって言われたから。それが?」
それを聞いて草壁は右手で額を押さえた。大きくため息をつく。
「なにを考えているんだ。響子のやつは・・・」
 
その時、テーブルの上にあった電話が鳴った。いまどき珍しい黒電話だ。草壁が受話器を取った。
「草壁だ」
相手は響子だった。
「あら、ちょうどいいタイミングね。無事に届いたかしらと思って」
「おま・・・、どういうつもりだ!! 素人にアレを運ばせるなんざ正気の沙汰じゃねーぞ!!」
どなられても響子はどこ吹く風だ。
「あらぁ。ちゃんと届いたんだから感謝して欲しいわ。それからまなみちゃんに電話かわってくれるかしら」
ぎゃーすか文句を垂れてから草壁は電話機ごとひっつかんでまなみに渡した。受話器を受けると響子の声が聞こえた。
「あ、まなみさん。ありがとうね。用事がすんだら帰ってもいいわよ」
「でも、事務所に連れ込まれちゃって」
それを聞いた響子は声を潜めた。
「それは大変ね。そいつ、婦女暴行の前科があるから隙を見て逃げなさい」
まなみの顔から血の気が引いた。
「なんてね。うそよ。そんな度胸は無いわ。包みの中身を説明してくれるはずだからちゃんと聞いてね。それじゃまた明日~」
どこまでも能天気な響子の声が切れると、まなみは受話器を戻して草壁に渡す。
「あいつの言う事は信用するな。どこまで本気で、どこまでは冗談なのか分からんからな」
吐き捨てるように草壁が言う。その時、まなみは信じられないものを見た。
電話機のコードが無いのだ。
「ち、ちょっとその電話・・・。コードが無い」
それを聞いて草壁がつまらなさそうに見る。
「ああ、ずっと前からこうだ。不自由してないから修理もしてない」
いや、そう言う問題じゃ無いだろうって突っ込みを入れたくなったが、黒電話の形をした携帯なんだと無理やり自分を納得させた。
 
「お前・・・、そう言えば名前を聞いていなかったな。俺は草壁総一。私立探偵だ。響子とは腐れ縁で、以前は一緒に仕事をしたこともある」
律儀に草壁は自分から名乗った。まなみも答える。
「私は、赤坂まなみ。一週間前からフリークストーンでアルバイトしてるわ」
 
草壁はペン立てから小さなペーパーナイフを取り出した。包み紙を切って中身を取り出す。
茶色い段ボールで出来た、正立方体の箱が出てきた。
「あの店で仕事してるならちょっとは分かるだろう。世の中には科学で割り切れない出来事があるってことを」
そう言われてまなみはいろいろと思いだしていた。そもそも雇用の時から不思議な事があったのだ。バイト中も誰もいない店内で何かがしゃべってるように思えたり、小さな生き物が走りまわる音を聞いたりしている。
 
「こいつはな。俺が響子に頼んで注文した強力な魔道具なんだ。パンドラの箱って分かるか?」
まなみは首を振る。
「知らないわ」
草壁は段ボールを慎重に開けていく。トランプで出来た建物をそっと移動させるかのように、中身を取り出した。
それは数センチ四方の大きさの木で出来た箱だった。
「ギリシャ神話に出てくる、この世のあらゆる災いをもたらしたとされる箱さ。これはそれとよく似た力がある」
いつの間にかまなみはソファから立ち上がり、箱の間近にいた。箱を見た途端、無性にそれを開けたくなったのだ。
手をのばして箱に触れようとした瞬間、ぐっと手を掴まれた。
草壁がハンカチを箱に被せると、まなみはまるで憑き物が落ちたようになった。全く無意識の行動だったのだ。
「なんで私、ここまで来たんだろ」
「この箱の魔力のせいだ。こいつは人の欲望を暴走させる力を持っている。もし誰かがこの箱を開けると、その力で次々と自分の潜在的な願望を実現させようとするだろう」
「それって悪い事なの?」
ハンカチで包んだ箱をテーブルの引き出しに突っ込むと、草壁はまなみを諭すように言う。
「いいか。誰かが人を好きになったとする。その状態でこれを開けてしまうと、好きな人を手に入れるためにどんなことでもやってしまうようになる。相手に恋人がいれば殺して奪うだろう。振り向いてくれなければ本人も殺す。邪魔する奴は実力で排除するようになる。
もし金が欲しければ銀行強盗やどろぼうだってするし、誰かに保険をかけて殺してしまうなんて事も起こしかねない。それくらいこれの魔力は強力だ。
しかしこいつの魔力に負けない意志を持ってる人間なら、この力を上手く使いこなす事が出来る。爆発的な行動力と精神力、ひらめきや知力を得ることが出来るからな。つまりは両刃の剣ってことだ」
「なんでそんな危ないものを頼んだの?」
「ある依頼者から頼まれた案件のためだ。科学で解決できない事案を解決するために必要だったからさ」
まなみは肩をすくめた。
「意味不明」
「わからなくてもいい。とにかくここへ持ってくる途中で何もなかったのは幸いだ。これからはあいつに頼まれても断れよ」
その時、窓をたたく音が聞こえてきた。雨が降って来たのだ。
「あ、傘・・・」
響子の渡した傘はしっかりとその役目を果たす事が出来た。
 
  Powered by おちゃのこネット
ホームページ作成とショッピングカート付きネットショップ開業サービス